象徴 ~シンボル~

2020.2.11 後楽園ホール

全日本プロレス 2020 EXCITE SERIES

三冠ヘビー級選手権試合

宮原健斗 vs 青柳優馬 ×f:id:onodera2020:20200315222056j:image

    大一番でコスチュームを一新した青柳。エルボーの自爆を誘いきっかけを掴むと、そこからは徹底した腕攻め。相手が得意とする場外戦でもまったく怯まず、むしろ優勢に立つ。エンドゲームでさらにダメージを与え、北原光騎直伝のスピンキックは顔面を的確に捉えた。続けて自身のフィニッシュホールド、ロックスターバスター。いま持っているものを全部出した。それでも勝てなかった。

    宮原健斗という壁は想像以上に高い。どれだけ追いつめても、必ずそれ以上の力で返してくる。鬼の形相で繰り出すヘッドバットは、直前までの青柳の印象をかき消すほどのインパクト。最後はペティグリーのような新技まで披露し、完璧なブリッジのシャットダウン・スープレックスで3カウントを奪ってみせた。終わってみれば完勝。同時に、川田利明の持つ連続防衛記録、V10に並ぶ。

「お前はNEXTREME追放、いや卒業だ」

「次からは対角線に立って、この全日本プロレスを俺らの世代で盛り上げようじゃねえか」

    試合前から考えていたのか、その場で思いついたのかは分からないが、このマイクはズルい。"優馬の乱"により実現した三冠戦の主役は、青柳から宮原に成り代わっていた。

    V10を達成した宮原は、いままさに全日本プロレスの歴史を塗り替えようとしている。誰か俺を止められるヤツはいないのか。次なる挑戦者を求める三冠王者の前に、あの男が現れた。

象徴 ~シンボル~

「その三冠防衛記録、これ以上更新させるわけにはいかない。俺がその記録をストップさせてやる。おい、宮原。どっちが全日本プロレスの象徴か。そして、全日本プロレスとは何なのか。それが分かる戦いをしたいと思う。答えを聞かせてくれ」

    前人未到のV11を射程圏内に捉えた王者の前に"強さの象徴"が立ちはだかる。いままでも節目節目で戦ってきた両者だが、これ以上のシチュエーションはないだろう。"最高"と"最強"による全日本プロレス頂上決戦だ。

    もはや異次元の領域にいる宮原。もし止められる人間がいるなら、それは諏訪魔であってほしい。

世界タッグ選手権試合

諏訪魔、石川 vs 入江、スティール ×

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    暴走大巨人のどちらかが裏切る。イザナギによる不穏なマイクで始まった世界タッグ戦は、予想どおりの荒れ模様となった。開始早々の場外乱闘を経て、最初に主導権を握ったのは挑戦者組。入江とルーカスが、パワーという共通の武器をもって間断なく攻め立てる。特に、入江のサマーソルトアタックから、ルーカスのエプロン上へのダイビングギロチンドロップに至るまでのコンビネーションは、タッグ結成初戦とは思えないほどの完成度。さらにはイザナギとUTAMAROまで介入し、4対1で諏訪魔が追い込まれる展開に。

    しかし、石川が身を挺して諏訪魔を救出。ここから一気に流れが変わる。諏訪魔がダブルチョップとラリアットでPURPLE HAZEを蹴散らすと孤立したルーカスに対して境川。続けてバックドロップ3連発で、諏訪魔がルーカスを沈めた。

    万が一、暴走大巨人のどちらかが裏切るなら石川かと思っていたが、結果的には何も起こらず。タッグの絆の強さを再確認することとなった。暴走大巨人は、スケール感で言えば間違いなく国内最強のタッグ。ユニット抗争に巻き込まれて解体されるのは惜しい。二人の全盛期が続く限り、タッグも続けてほしい。

    一方、敗れた入江とルーカスは、王者組に引けを取らない大きなインパクトを残した。PURPLE HAZEとしては、この二人で世界タッグを狙うようだが、ここが最終目標ではないだろう。チャンピオン・カーニバルにエントリーされているように、それぞれシングルのタイトルも貪欲に狙ってくるはずだ。世界タッグ戦線とあわせて注目したい。

世界ジュニアヘビー級選手権試合

○ 横須賀ススム vs フランシスコ・アキラ ×

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    序盤、アキラはスピードと跳躍力でススムを翻弄しようと試みる。しかし、ススムが早々にこれを捕らえると、スタイルの違いを強調するように、たっぷりと間を取って攻めていく。王者は終始余裕を崩さず、横須賀カッターでアキラを沈めた。

    試合後のマイクも余裕。軽く笑いをとりつつ、挑戦者を称える。そこにはまったく嫌みがない。外敵どころかベビーフェイスだ。ドラゲーでの防衛戦に対する観客の反応も概ね好意的。世界ジュニア王者としてのススムは、非の打ち所がないほどの王道を進んでいる。

    ただ、それを面白く思わない人間もいる。生え抜きの岡田佑介が次期挑戦者に名乗りを上げた。2.23エディオンアリーナ大阪での防衛戦が決定。ススムが、岡田の勢いを買ったかたちだ。

    岡田が特別なモチベーションを持っていることは言うまでもない。しかし「なんで最初に出てこなかったんだよ」というススムの問いに、答えることができなかった。このシュートな投げかけに対してどんな答えを出すのか。世界ジュニア戦まで残された時間は少ない。

アジアタッグ選手権試合

○ ジェイク、岩本 vs 大森、めんそーれ ×

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    予想どおり、ブラックめんそーれがローンバトルを強いられる展開。岩本がキャメルクラッチで絞り上げ、ジェイクがサッカーボールキックを叩き込む。見るからに効きそうだ。しかし、めんそーれがこの猛攻を耐えきると、大森の的確なアシストを受け相手を分断。丸め込みで、岩本をあわやというところまで追いつめる。

    最後はカウンターの"孤高の芸術"で散ったものの、戦前めんそーれを散々バカにしてきた岩本に「価値のある防衛」と言わしめた。

    イロモノであることには違いないが、めんそーれの野心と覚悟は本物だろう。その点はパートナーの大森も認めている。ワイルドめんそーれのアジアタッグ戴冠、いつか見てみたい。